藤本さんは大分県の高校卒業後、書の道を志して文学部書道文化学科に進学し、現在大学院文学研究科に在籍しています。
本学入学後も継続して書道に打ち込み、この成果をはじめとする様々な活躍に繋がっています。
今回、藤本さんへのインタビューを行い、受賞作に込めた思いや、学部時代からの学びや活動など色々なことをお話しいただくとともに、指導教員の文学部 森上洋光教授にもコメントをいただきました。

インタビュー
[広報課]:
今回の作品について説明をお願いします。
[藤本さん]:
『巌郎(がんろう)』は、厳かで立派な宮殿という意味の古語です。
今年は祖父の三回忌ということもあって、その供養と自己を見直す目的でお遍路巡りをしていたのですが、その道中に日和佐で見た岩山の風景から受けたインスピレーションが制作のきっかけになっています。
祖父「荒金 大琳(あらかね だいりん)」は、書の研究、教育、制作と、書に生涯を捧げていました。
荒金先生が教授してくださったことはもちろん、書に命を捧げ努めた生き様に触れられたことは、一番の財産だったと思います。
[広報課]:
今回の受賞に際しての所感は?
[藤本さん]:
先生方のご指導や、共に書を学ぶ友人たちとの交流を通じて成長できている部分が大きく、改めてお世話になっている方々に感謝を伝えたいです。
今までの中では一番力を抜いて書けました。
[広報課]:
藤本さんは大分出身で、徳島県の四国大学に進学してくれています。
書道文化学科進学のきっかけや学科や大学院の印象についてお話しいただけますか?
[藤本さん]:
書の世界で生きたいという気持ちが固まったのが高校2年生の頃です。
大分出身の四国大学院生の方の活躍を見たことで本学のことを知りました。
進学を決めたきっかけは、雄大な吉野川とそのほとりにあるキャンパスの風景に惹かれたことですね。
書道の実績で奨学金給付を受けられるという理由もありましたが、全力で書道に打ち込む大学生活を送りたいと考えていた自分にとって、落ち着いて制作や研究に集中できそうな四国大学はとても魅力的に映りました。
実際に入学してみての感想ですが、集中できる良い環境という希望は十分叶ったと思います。
ここならではの良さとして、本当に自由にのびのびと研鑽できることが挙げられます。
様々な書風の先生から熱心に教えていただき視野が大きく広がりました。
また、夜遅くまで書道が出来るスペースがあり、大きな作品を書く私にとって非常にありがたい環境です。
[広報課]:
学部時代も含めて、どんな学生生活を送っているかお話しください。
[藤本さん]:
大学生になってから制作に加えて、学問としての書の研究にも多くのエネルギーを割くようになりました。
1年生の時、書道研究センターの蔵書を毎日読むこと、毎日最低に2時間の臨書時間をつくることを始めました。
興味をもった書籍を自分で購入するようにもなって、その中から、これだという研究テーマと出会うことができました。
これも1年生の時ですが、自費購入した『書道グラフ』という専門誌の中に、4世紀後半の中国の金石文「広武将軍碑」が取り上げられていて、とても強い興味を感じました。
この考察が卒論テーマとなり、大学院でも修論テーマとして取り組んでいるところです。
広武将軍碑は、学術的な調査対象としてだけでなく、制作面に与えた影響も大きいです。
石に彫られた文字なのに、肉筆を思わせる生々しさがあり、金石分特有の冷たさ、厳しさとと相反する素朴な温かさが魅力で、自分の表現にどう取り込むかという点でも興味が尽きません。
大学院生になってからは、高校の教員免許を活かして国語の非常勤講師の仕事をするようになりました。
人に物を教えるという新たな分野で貴重な経験を積めていると思います。
[広報課]:
今後の目標や将来のビジョンがあれば、ぜひお話しください。
[藤本さん]:
まだ漠然とした部分もありますが、師匠のように生涯をかけて書の制作と研究、そして書を通じた教育活動に取り組んでいきたいという目標があります。
実際のところは、「荒金 大琳先生」のことを知りたいという毎日です。
修論執筆もこれからが本番なので、残りの大学院生活も充実させていきたいです。
指導教員 文学部 森上洋光教授のコメント
「藤本君は周囲の方々の期待を基盤に、書道に傾注する学びを本学で実践しています。
今後も日々の取り組みから、書道はもちろん、人としてもさらに充実し、着実な進展を得られるよう願っています。」

